続・探仏記 ~探仏の旅は続く~

仏像探しに鉄馬童子は今日もゆく・・・

再びの奈良へ(詳細編):珠玉の仏たち

あれから1ヶ月、時がたつのは早い。
11/7~8の2日間の奈良旅行の初日、奈良博に行った時のことを思い出してみる。


奈良国立博物館 ※11月7日

名品展 『珠玉の仏たち』@なら仏像館


自転車がパンクしたり、館内の撮影で苦労したことは前回書いた通り
↓ 館内図は以下を参照。(クリックすると、詳細図が表示)


第1室を飛ばして第2室からスタート。

第2室〈如来〉
画像は奈良博蔵・如来像。この室ではまず元興寺・薬師如来が目を引く。さすが奈良博、国宝仏が常設という素晴らしさ。そして一番気になったのが奥の浄土寺・裸形阿弥陀如来。浄土寺と言えば快慶・作の阿弥陀三尊が有名だが、なんとコチラも快慶仏。最近、快慶には注目しているのだがこの時は「へぇ~、快慶ってこんなんもあるんだ」って感じだった。快慶云々は置いといたとしても気品があって秀逸。同じ浄土寺の中尊阿弥陀は写真で見る限り四角い顔付きであまり好みではないが、こちらはあまり角張ってなく、キリッとした眼が何とも凛々しい。

第3室 特別公開〈東大寺法華堂 金剛力士像〉
続いて第1室を横切り第3室へ。法華堂の2仏。法華堂では他の巨仏もいて圧倒されるが、博物館だと2躯だけでも迫力満点。特に阿形が大好きで、あの総髪立ちでシャウトする様は見てて気持ちイイ。

第1室〈観音菩薩〉
ここは見応えがあるエリア、見渡す限り観音・観音・・・・数が多い。まずはフロントに2躯、うち左側は妙法院(三十三間堂)・千手観音。東博では慶派・院派・円派の3躯が展示されていることがあるが、こちらは湛慶・作の1躯。まぁでも、この千手観音は千体ある中で拝観したい。右隣は元興寺・十一面観音で錫杖を持つ長谷寺式。右サイドを進むとポッチャリ体型の園城寺(三井寺)・千手観音、1年半前の国宝・三井寺展で拝観した、ハズ。中央の十字の台には4躯、右側には今回楽しみにしていた浄瑠璃寺・馬頭観音。こちらも2回目だが前回の記憶は殆どない。意外と小さかったが、忿怒相・四面八臂・火焔光背と好きな要素満載の逸仏、後方面が光背で見えなかった、残念。奥には新薬師寺・十一面観音、室生寺仏のような光背が特徴的。左サイドを進むと、奈良博蔵・如意輪観音(左上)。仏像ガールの本の表紙にも使われてたと思うが、バケツのような宝冠が面白い。如意輪観音は女性的な雰囲気なことが多いが、こちらは男性的。他に薬師寺・十一面観音や不空羂索観音などもあったのだが記憶になく。

第4室〈塑像と塼仏、中国の石仏〉
スルーしてしまった。

第5室・第6室〈菩薩〉
第5室には薬師寺・文殊菩薩があったようだがまったく記憶にない。拝観メモには「能満寺・虚空蔵菩薩と一具か」との解説を書き写してあった。薬師寺にもまだまだ知られてない仏像が結構あるのね。第6室に入り、左サイドの長命寺・地蔵菩薩は放射光背が美しい。林小路町・弥勒菩薩は「角顔・快慶風」と所感がメモ書きしてあるが思い出せない、すごく気になるなぁ・・・・。右サイドの個人蔵・観音菩薩はバケツ宝冠で旧・伝香寺蔵とのこと。

第7室〈明王〉
チラチラ見えていたのだが、この室はメインのひとつ。色彩的にも目立つ、奈良博蔵・愛染明王 (左)、保存状態が良く腕の位置・バランスが見事。快成という仏師の作だが、快慶の系統とは違うようだ。確かに慶派仏ではないような・・・でも◎。手前には不動明王が2躯、そのうち右側の正寿院・不動明王は本当に素晴らしい。まず、快慶・作の醍醐寺・不動明王に似てる、それは見た時にも気付いた。こちらとNYバーク・コレクションの不動明王は快慶・作とする向きもあるようだ。いずれにしてもこんなにスッキリ顔の不動は他では見ない。奈良博蔵・五大明王(右上)は小仏で可愛らしい。

第8室〈檀像、上代の金銅仏〉
右サイドの金銅仏はほぼスルー状態。ここでは左サイドの檀像群、奈良博蔵の3躯に注目。まず、如意輪観音(左)は第1室の男性如意輪とは異なり、気だるい女性の雰囲気を醸し出す(顔付は男性的とも見れるが)。十一面観音(中)は頭が少し大きい感じはするけど知的な顔立ちの美仏。そして国宝・薬師如来(右)、腫れぼったい目はどことなく元興寺・薬師にも共通してる。

第1室・第9室〈護法の天部形〉
いよいよ天部群、まずは四天王。奈良博蔵・毘沙門天(左)は無茶苦茶カッコイイ(ウワッ、幼稚な感想・・・)、仏像館の中で一番カッコイイ(もうイイって)。十一面観音の裏にある現光寺・四天王は顔が角張ってる。奈良博蔵・広目天(右)はあまり記憶にない。第9室の十二神将については既に別の記事で書いたのでそちらを参照
コチラから。
さて、このあたりまでが自分にとってはピーク。だいぶ時間をかけて見て来たので疲労気味。

第10室〈肖像〉
聖徳太子、南無仏太子などがあったが、ほぼスルー。

第11室〈神仏習合〉
薬師寺に隣接する休ヶ岡八幡宮の三神像は国宝。他に蔵王権現の群団や大将軍神(右)など。ここもスルー気味で。

第12室〈動物彫刻〉
ほぼ力尽きかけたところで文殊菩薩の台座であった獅子2躯が登場。右の獅子は以前に写真で見たことはあったが、どちらかと言えば犬的で大人しくまとまってる感じ。もう一方はどんな文殊が乗ってたんだろうと想像を巡らせるほどの威風が感じられる。対極的な獅子2躯は興味深い。それにしても文殊が不在なのは残念。

第13室〈仮面〉
力尽きて完全スルー・・・


あえてもう一度見たい3躯を選ぶと・・・
①浄土寺・裸形阿弥陀如来(第2室)
②正寿院・不動明王(第7室)
③浄瑠璃寺・馬頭観音(第1室)
となる。

あと、自分のメモ書きながら内容を思い出せないコチラも・・・
①’ 林小路町・弥勒菩薩(第6室): 本当に快慶仏似なのか?
②’ 春覚寺・地蔵菩薩(第6室): 愛染明王と同じ快成・作らしい、まったく記憶無し。
③’ 薬師寺・文殊菩薩(第5室): できれば能満寺・虚空蔵菩薩も一緒に。
・・・再度確認したいという意味で。


東博もいいけど、奈良博は更に凄い。また行きたいねぇ。ところで京博はどうなんだ?

運慶 vs 快慶

気が付けば・・・運慶に関する本を結構持ってたりする。



これらの本によって無意識に刷り込まれてるのが・・・・・運慶仏は31体

これまでの探仏で運慶拝観率は70%弱。以下、は探仏済み。



興福寺・北円堂の四天王は「運慶説」があるらしいがここでは本に倣って対象外とした。
未見なのは八大童子、滝山寺の三仏、大威徳明王の10体也。


一方で・・・

運慶と双璧をなす快慶はどうなんだろう?

本は一冊も持ってない、というか快慶を中心とした本を見たことがない。運慶本にオマケ
のように書いてあることが多い。そもそも全部で何体現存しているのかも知らないし。

そこで調べてみた・・・Wikipediaで・・・どこまで正しい情報かはわかならいけど。
それに「快慶」でググッて確率が高そうな2体も加えると全部で40組ほどあるようだ。

なので、ここでの結論として・・・・・数えると・・・・快慶仏は60体



注)安倍文殊院の五尊像は文殊+獅子は1とカウント、後補の維摩居士は対象外、
  仁王像は2、三尊像は3、四天王は4、十大弟子は10とカウント、推定の2体も対象とした。

追記)極楽寺・阿弥陀如来は行快作、一方で泉湧寺塔頭悲田院・宝冠阿弥陀如来は
  快慶作とする向きがあるようなので差し替える。


運慶仏の約2倍も残ってる。その割に見たことあるのが少なくて快慶拝観率は30%。
運慶仏は意識的に見に出かけてることが殆どなのだが、快慶仏の場合は行ったら
たまたまそこにあった的な出会い方が多い気がする。

快慶仏を並べてみてわかるのが阿弥陀如来の多さ!「安阿弥様」という言葉もあるし、
何となく多いんだろうと思ってたが、まさか現存の半分(20組)が阿弥陀仏だとは・・・
殆ど個々の見分けはつかないけどねぇ・・・しかし気になる仏ももちろんある。

・孔雀明王(金剛峯寺): これは未見だが有名、孔雀明王と言えば、快慶ね。
・文殊五尊(安倍文殊院): 渡海文殊の最高峰!西大寺文殊がこれに続く。
・弥勒菩薩(醍醐寺): これも未見だけど、このゴージャスな感じが好き。
・不動明王(醍醐寺): こんなイケメンな不動は他にいない。
・阿弥陀如来(裸形、浄土寺): 奈良博で拝観。洗練された立ち姿が凛々しい。でかいし。

・・・ということで、快慶仏もやはり魅力的だな、と今頃気付くのである。

気になる運慶仏との比較だが(比較する必要はないんだけど)・・・下記3種は対照的。
・阿弥陀如来: 〔運〕ドッシリ逞しい坐像 〔快〕優しげでスタイリッシュな立像
・不動明王: 〔運〕無骨でワイルドな立像 〔快〕忿怒顔でも凛々しい坐像
・地蔵菩薩: 〔運〕冷静に衆生を見据える坐像 〔快〕きれいな衣文の立像

現存数では圧倒的に快慶、国宝仏の数では運慶に軍配、
リアリズムの観点ではやっぱり運慶かな・・・快慶はスタイリッシュな感じがする。
まぁどうでもいいか。要は個人の好みで決まることでしょう。両者とも凄いということで。


書きながら、どうオチをつけようかと考えたが、思い浮かばないのでこのまま中途半端に終了。
ちなみに快慶本ってなんでないんだろう?
芸術新潮さん、別冊太陽さん、特集お願いします。



鉄馬童子 meets 仏像ガール

叔父からあるイベントに誘われてた。今日はその当日、会場となる藤沢市の寺へ向かう。

宝珠寺

JR東海道線沿いにあり、境内も一般のお寺にしては広い。
人の出入りが多かったが誰もいなくなった瞬間に一枚。
↓これが今日のイベント也。


廣瀬郁実先生=仏像ガール、也。

会場は一番上の写真にある本堂、既に多くの方で一杯。本尊は不動三尊、赤いセイタカと白いコンガラを従える比較的新しめ(?)の不動。相模仏教会が主催なので参加者の殆どは僧侶・檀家の方なのだろうか。全体的に年齢が少々高め・・・というか殆どリタイアされた方々・・・そんな中、私、一番ヤングface07(後から他の「ヤング」な方々も来たけど、ホントのヤングはいなかったかも・・・) 正式なタイトルはコチラ↓


講演中は撮影禁止とのことで、画像はここまで。

14:00少し前に仏像ガールが会場入り。内陣の本尊に手を合わせてからプロジェクターの横にある椅子へ。最初に仏教会の方、お寺の方から挨拶。司会の方は「研修」と言われてたが・・・ん?研修? その後全員本尊に向かい般若心経を唱え、いよいよ仏像ガールが登壇。

内容をかいつまんで書くと・・・まず、仏像が好きになった経緯の紹介があり、仏像は難しくはなく感じることが大事、見るのでなく「会う」といったことを言われてた、フムフム。そしてここからは仏像画像を表示して、感想を聞き、三択のクイズを出し、エピソードを語るというパターンで計6体の仏像を紹介(ネタバレになるかもしれないので紹介された仏像は敢えて伏せる)。自分の想像では如来・菩薩・明王・天・・・と有名仏を紹介していくと思ってたが、見たことがない地方仏ばかりだった。

紹介された仏像自体にはあまり関心はなかったが、飽きさせない展開で良かったと思う。時間にして1時間30分、結構アッという間だった。最後に司会の方が「仏像を見る楽しみ」と銘打ったことについて「会う」とすべきだった、と話されてた。その後またまた全員本尊のほうを向いて(真言宗のお寺なんで)「南無大師遍照金剛」を唱える。仏像ガールが退場する際、真横を通ったので撮影を試みたものの・・・これじゃ誰だかわからん。この後、きちんと涅槃仏に手を合わせていかれたのはさすが。


その後、こちらも退場。渡り廊下を出口に向かって進むと、途中で書籍の販売・サイン会をやってたが、人だかりができてたので購入も撮影も断念。

駐車場の脇には愛染明王、外にあるのは珍しい。五島美術館所蔵の愛染と雰囲気が似てる。


ちなみに叔父は「話し方がよい」「素人にもわかりやすい」「もっと年配の人が来ると思ってた」との感想。仏像関連の講演などは今まで聞いたことがなく、今回初めてだったがなかなか面白かったと思う。また機会があれば是非。ただ、2時間近くお堂にいたので、服が独特の匂い(臭い?)になってしまって・・・ま、あとは帰るだけだからいいや、と。



再びの奈良へ(番外編):4組の十二神将

もうだいぶ前で忘れかけてるけど、11/7~8の2日間の奈良旅行では4組の十二神将に出会った。

初日は奈良国立博物館で2組。

①奈良博所蔵(大寧寺薬師堂伝来)

40~50cm高で4~5頭身の体型のせいか、若干コミカルに感じる。
ポーズは全体的に鎌倉国宝館所蔵の十二神将に似てるような気がする。

②東大寺(うち6躯)

もう記憶の彼方に・・・なのだが、全体的に動きは少なかったと思う。自分のメモには「右上げ・左上げ・右剣(持)・右剣(構)・左宝珠・眺望」とあったが・・・もう少しまともな情報が書けないものか。上の画像はメモを元に当てはまるポーズを集めてみた。東大寺仏ということでかなり期待したが、う~んという感じだった記憶は残ってる。でも確認のためもう一度見てみたい。


二日目は興福寺と秋篠寺で1組ずつ。

③興福寺

今回の十二神将の中で一番楽しみにしていたのがここ。国宝の十二神将は3組しかないらしい(新薬師寺、広隆寺、興福寺;板彫仏を除く)。東金堂では他の仏像の陰で目立たないが、今回はお堂の側面・背面に回り込んで拝観できるので、個々をバッチリ見ることができた。剣を振りかざす伐折羅(左から2番目)、遠くを望む毘羯羅(右)がお気に入り。もう少し小ぶりかと思ったが、1m超の堂々たる仏群であった。レイアウトはコチラ

④秋篠寺

秋篠寺では大元帥明王がお目当てであったが、本堂の十二神将も気になっていた。やや小ぶりな仏群で動きは少なかったが特徴があって良仏。画像の薄い部分は想像で追加。(秋篠寺さん>ポストカードに是非十二神将も入れてくださいな。)レイアウトはコチラ


今回の旅では興福寺仏が良かったねぇ。自分の中では新薬師寺仏・室生寺仏と共にベスト3に入る。

これから見てみたい十二神将は、広隆寺仏(一度見たはずだけど記憶にないし)、神護寺仏、そして浄瑠璃寺伝来仏。浄瑠璃寺伝来仏は東京国立博物館の5躯は見ているが、残りの静嘉堂文庫美術館蔵の7躯が未見、できれば12躯揃って拝観できるといいんだけどねぇ。修理中の浄瑠璃寺・三重塔に薬師如来が戻った際には、一度全部里帰りさせてはいかが?

画像出典: 奈良博HP、興福寺HP、書籍

続きを読む

十二神将を分類

ブログを引っ越したばかりだが、内容は前のブログからそのまま引き継ぐ。

十二神将に関して、これまで何回か分類を試みてきた。
で、結論は名称(干支)とポーズに共通点は無し、であった。
~これまでの検証結果~
「十二神将」を比較してみる
十二神将ブーム到来
「十二神将」を分類してみる

今回は名称(干支)は無視して、持物と動作で共通項を再度見つけてみた。

これは鉄板、どの十二神将をみても必ずいる。


左の2躯は弓を持たないが他と手の位置が似通ってるので同類だろうと推測。


これもほぼ鉄板、室生寺仏は有名。▲の1躯は額に手をかざしてはいないが、
持物=斧が共通なので同類とみなす。


左4躯はほぼ同一、5躯目も持物がないだけ。▲の2躯は左手が腰でなく微妙、右手を伸ばしてる一番右のは更に微妙なのだが、他の組で当てはまるところがなく、ココに落ち着いた。


これは好きなポーズ。ポイントは左手をピーンと伸ばして手のひらを広げてるところ。
▲の2躯は伸ばしてはいないのだが、右手と左手の位置関係から同類だろうと推察。


これも好きだねぇ。居合抜きのようにも見える。▲の2躯は剣の持ち手が異なるが、
きっと左利きなんでしょう・・・ということで。


左4躯は共通。ここでのポイントは静的であること、とみたので▲の3躯は持物も手の位置も異なるが同種と見なしてみた。一番しっくりきてない感じもする。


剣4は右手の角度に注目。▲は持物が異なるがココくらいしか共通項が見つけられず。
剣5も▲は持物が金剛杵なので一見全く違うのだが、やはりココしか近似者が見当たらず。


これは文句なしにみんな一緒。


戟(げき)1との違いは、動きがあること。となると▲の1躯は当てはまらないんだけどね・・・
戟3の左側は戟を持ってないけど、並べるとポーズが同じだから仲間ということで。


これは特徴あるポーズなんでまとめやすい。けど、▲は手のひらの向きが違うんだなぁ。
揚げる2のほうは何か宝塔とか宝珠を持ってる風。


持つ1,2,3は左の2躯が似通っていて、それに1躯を無理矢理混ぜた感じ。


最後に考える2躯。正に十二神将を分類するとこんな感じに考えてしまう。
結構無理矢理で、ほとんど前回と内容がカブってはいるが、割と整理はついてきたので
そろそろ良しとしようか。